外資系戦略コンサルティングファームへの就職・転職に向けて
寄稿−130回外資面接からの教訓 (外資セミナー 初年度メッセージ)
外資系戦略コンサルティングファーム、外資系投資銀行ともに、優秀な頭脳が集い、入社試験は最難関と位置づけられる。
確かにあの帝国ホテルセミナー会場いっぱいの数千の学生/中途志望者の中から、3-4人しか選ばれないのだから確率的には非常に低い。
ただし業界全体で言うならば外銀全体で100人は採るし、戦略コンサルにしても50人は採る。
応募者が2万いたところで、レジュメや筆記で大半は切られ、数百に絞られるのだから、Top Competitiveな候補者にとってはアナガチ雲の上のオハナシでは無い。
申し遅れたが、私は主要な米系/欧州系投資銀行、また米系戦略コンサルティングファームの間を何社か渡り歩き、ほぼ全ての主要ファーム/バンクの面接を経験してきた。就職後も頻繁に転職活動を繰り広げてきたので、その数はトータル100回を優に超える。(各社ともに10セット程度の面接が通常なので。) 具体的に上げると以下の通りである。
・ゴールドマンサックス(マーチャントバンク部門、株式部門、調査部門、債権部門、資産運用部門)
・モルガンスタンレー(投資銀行部門、株式調査部門)
・メリルリンチ(投資銀行部門、株式調査部門)
・日興シティ(株式調査部門)
・リーマンブラザーズ(投資銀行部門)
・JPモルガン(投資銀行部門、株式部門、株式調査部門、不動産運用部門)
・UBS証券(投資銀行部門、株式調査部門)
・クレディスイス(投資銀行部門、株式調査部門)
・リップルウッド(PE)
・ヘッジファンド複数社
上記外資系金融各社に対し、優に100セット以上をこなしている。
また戦略コンサルでは ボストンコンサルティンググループ(BCG)、マッキンゼー、ベイン、モニターグループ、ブーズアレン、ATカーニー、その他複数の外資系戦略ファームを受けてきた。(計30セット以上)
これに加え、戦略コンサルファームでも投資銀行でも、採用側に回って幾多もの面接をこなしてきた。 面接回数、合格回数、不合格回数ともに、当業界狭しといえど、(実際、人数も少なく相当狭い業界なので、この場で名乗るのは控えるが・・・) 1,2を争うのではないかと思っている。争っている今でさえ、定期的に他社の面接を受けに行くアリサマである。
これは、現状の職場に満足していようが、更なる機会の可能性があるだけでなく、当業界は面接側も総じて優秀なので、彼らと話していると勉強になるからだ。
現在も増加中の外資面接130回記録という経験を、(採用に回った側を含めればその数は格段に増えるが・・・)当業界を志す皆さんと是非分かち合いたい。活発な議論の機会を、楽しみにしています。
>>「講師の方からのメッセージ(1)」トップへ戻る面接対策セミナー抜粋
外資系戦略コンサル/投資銀行への就職/転職を志望するなら、通常8-20セットの面接を突破する必要がある。
特に初期の1−2面接が重要だ。なぜなら彼らのレファランス(続く面接官へのフィードバック)が後々の面接官からの評価に響きがちだからだ。
またVoting Powerの強いシニア(バイスプレジデント/マネジングディレクター/信頼されるアソシエイトクラスの若手バンカー)の一人に強く拒まれても未来はない。
ではこれらの関門をどのように突破すればいいのか。時に現れる理不尽で愚かな面接官に出くわすリスクはまさしく運頼みだが、運以外の要因で準備可能なのが以下のポイントだ。
細かいことを言えば無数にあるが、“10法則”などといっても覚えられず実践できないので、あえて3つに絞って書こう。
1. 論理的に話す/考える 2. 売るべき強みを間違えない 3. 業務内容を理解しておく
1.に関してだが、「論理的」の意味をより詳細に把握する必要がある。投資銀行では基本的に、簡潔に結論→理由→理由の流れで話せればそれでよいのだが、例えばコンサルティングファームで出される「豆腐の売り上げ3倍にするには」などの質問で求められる論理はどのようなものなのか。
ここで「論理性判断」のポイントとなるのは仮説思考力、論理構築力、分析力などということになるのだが、それでは、これらは一体どのように答えれば”示せた“ことになるのだろう。
例えば、豆腐の売り上げを3倍にするには、という問いに対し、どう取り組めばよいのか。以下に一例をあげてみよう。
まずは問題の設定が漠然としているため、問題を定義するのが第一段階となる。
ここでゼロベースで、豆腐という認識の枠組みを解体し、「大豆を原料とするヘルシー食材」等と定義できれば好ましい。
次にそのヘルシー食材たる豆腐を、個人生食用、業務用、加工用と分けて見る。(なぜこの3つに分けようとしたのか、理由も用意しておくこと。)
ここで個人用生食豆腐が売り上げの主要要因と仮定し、その購買構造は1. 朝と夕方 2. 二丁目と3丁目に 3. 揚げ豆腐を売っていると分析する。(一例)
すると仮説提言としては、1. 販売時間帯を広げ 2. 販売地域を広げ 3. 販売商品ラインを広げるということになる。 そしてその中では販売商品ラインを広げるのが最も有効と仮定し(理由2−3個つける)、どのような商品ラインがありそうか複数挙げてみる。そして・・・(以下論理的に絞っていく)
ところが一方、この問題を、「売り上げ要因はマーケティング費用と販売人員と最近できた隣のスーパーだ」、と分析すると思考はだぶつき、インプリケーションも混乱する。最悪なのは、「豆腐はおいしくすると売れるので、最高の原料を使って鮮度を確保することだ!」・・・、と突然言ってみたりすることである。
その後、おいしい味にするためのすばらしいアイデアをたくさん出されたところで、「発想豊かな奇人」という評価が関の山だろう。
ここでの思考/分析のポイントはいったいどこだったのだろうか。中でも「外資戦略コンサル面接でチェックされる論理のポイント」は何だったのだろうか。
当日は「論理構築力」「仮説構築力」評価のポイントも含め、過去BCG,BAH、モニターグループなどで実際に出されたケーススタディなどを使用し、参加者に模擬面接/合否判定を行い、実践的な面接対策に役立てたい。(注:上記豆腐での模範解答は、全然模範ではない。思考過程の一例に過ぎないので、面接で出ても喜んでそう答えないこと。)
>>「講師の方からのメッセージ(1)」トップへ戻る投資銀行面接-売るべき強み(一例)
2&3の“面接で売るべき強み”“業界の知識”、に関してだが、付け刃の英語力や持ち前の“コミニュケーション能力“を振り回そうという学生諸君は、この節を読んで本当によかった。それらへの評価は、他に威張るものがないか、売るものを間違っているかのどちらかとなる。
投資銀行部門での面接では、必ず“あなたの強みは何ですか?”と聞かれる。この時、たいていは質問を通じ、一年目のあなたに求められる役職をうまくこなせるかどうかをチェックしている。
“自分は役に立つ”と思ってもらいたいあなたは、当然、一年目の仕事に結びつく強みを訴えなければならない。 ここで「3. 業務内容の理解」が「2. 売るべき強み」とリンクしてくる。何をするのか分かっていないと、何が強みになるのか分からないではないか。
例えば実際に一年目の投資銀行部門アナリストの職務8割を占めるのが“書類をパーフェクトに用意する”という作業である。そこに求められる能力はプレゼンが上手かったり、人との話が好きだったり、統計解析が得意だったり、夏休みに10カ国を旅した好奇心などではない。
いかにシニアバンカーの要望を正確に把握し、つまらないフォント修正を朝3時までできるか、パワーポイントの形を整えることができるかということだ。
また細部への正確さは投資銀行で最も重要な武器となる。
あなたは深夜の1時にサウジアラビアの**油田の潜在埋蔵量を調べて、各油田のガロン数をエクセルに明朝までに打ち込め、と言われるとしよう。運良くドバイオフィスの同僚カーフィザデー・アリが数字を教えてくれた。しかしソレが正しい情報なのか確証が持てない。
あなたはOil Investors' Magagine,石油油田時報、ブルームバーグ、ヤフー、その他様々なソースを何重にも調べ、自分の数字をJustifyできるまでベッドに入りたいなどとは決して思わない。
今年は株式の発行額が不況で半分に減った。投資銀行からの人員削減はボーナス発表間近の11月だ。それまでは石油の埋蔵量が分かるまで、決して弱音を吐くことはできない。。。今年の年末はどのくらい休めるのだろうか。一日でも休ませてくれたら大満足なのだが・・・。(ちなみに実話。その年、2年連続で初日の出をオフィスから眺めるのであった。。)
ここでは少し極端な例を挙げたが、本質的に言いたかったのは ?つまらない作業を馬鹿にしないこと ?極限の状態でもダブルチェックを怠らないことだ。
投資銀行に入る上で、他にもいくつかの典型的な強みがある。
セミナー当日はその他諸々の、業務内容詳細及び、そこから導かれる“売るべき強み”について業界志望者の理解を深めたい。 )
>>「講師の方からのメッセージ(1)」トップへ戻る各社採用セミナーの欠点
投資銀行のセミナーに行って、あなたが得る情報は大抵次の三つ。
“うちはウォールストリートで最もホットな投資銀行で、人もユニークだしやさしい人が多い。他はみんなアグレッシブすぎて、なんだか軍隊みたいだ”
“仕事の内容?ああ、何千億もの企業を合併したり、日本の大企業をニューヨークに上場させたり・・・さまざまな資金調達の手助けをするのが仕事だよ。”
“そうだな、うちはゴールドマンみたいな大所帯ではないから、これからフランチャイズを立ち上げていく責任/裁量の大きさがウリかな。”
初回のセミナーでは目を輝かせて聞いているあなたも、3社目くらいからはいいかげんにげんなりする。いずれも表層的なウワッツラに過ぎず、あなたが知りたい詳細レベルの情報は入ってこない。(それもそのはずで、バンカーは全て、人事部から“優しく、ジェントルで魅力的な会社、というイメージを与えてください”と指導されているのだ。
私も採用側にいるときは、「ウチほどユニークで上り調子のホットなバンクは無いぞ! 君は本当に優秀な空気が満ち溢れているから、ウチみたいな会社が一番合うはずだ。一緒に何千億もの企業をくっつけて、清原の3倍のボーナスを貰おうじゃないか!!」と吹き込んだりもする。
しかし、実際受ける側のあなたが知りたいのは
1. 日常に自分がするだろう詳細な業務内容であり、 2. 他の投資銀行/他の部門に比べた実質的な違い(=仕事をする上での違い)はどこにあるかであり 3. この業界で働けば海外勤務/海外研修を含めどのような勉強ができるか なのだ。
社会人生活を目の前にして、果たして自分の向上心を満たしてくれる職場か、そして人間らしく休める職場か、この会社に入ってどんな点を後悔しているか、などなど、新卒特有の疑問に正直に答える会社はほぼ無い。
2. の各ハウス(ちなみに投資銀行のことを、業界人は”ハウス”と呼んでみたがる。長年のバンカーが言うと許せるのだが、入行一年目で使うのは、”寿司をはじめて食べる外国人がしょうがをガリ、というのと同じ恥ずかしさ”が漂う)間の違いや、?の業務での学習ポイントなどは当日のセミナーで話そうと思うが、?日常の具体的な作業内容に関して、少し書いてみることにしよう。
ここで実際あなたが入社してからの毎日を目に浮かべていただくために、より業務に落とし込んだモノガタリを一年目アナリストの視点で展開しよう。
(以下実例を元に登場人物/企業/地名を変更して記載されています。)
>>「講師の方からのメッセージ(1)」トップへ戻る投資銀行の一日(事例)
2012年5月26日、
4時間しか寝てないのにいつもの忌々しい目覚ましの音で起こされたあなたは、8時半から始まるM&Aチームミーティングのために大手町のオフィスを目指す。一階のドトールでアイスコーヒーをかっこみ、昨夜2時に作り終えたMD向けの資料を印刷する。 “しまった、パナソニックによる買収金額だけ、USD表記されている!! 他の会社は円で表記されているのに・・・”
“まずい!会社のロゴマークの色の出が悪い・・・違うHPからとってきて印刷しなおさなくては・・・”
“おいおい、プレゼンテーションチームの連中め!! あれだけこのグラフは大きく、色は黄色で、と指定したのに、指示が反映されてないじゃないか!!”
これから指摘されるだろう山のような“一見どうでもよさそうなミス”に心を沈めながら、あなたは山のような赤線修正を渡されミーティングを後にする。 11時からはニューヨーク上場を控える○×銀行のドラフティングミーティング。(株式販売の際の、目論見書作成ミーティング)
前日に株価が急落して予定のオファリングが突然延期され、あなたは新たに発表された決算内容のコンフォートレターを会計士に依頼しなければならない。(注:コンフォートレター:企業から出された会計情報が正しく合理的な会計基準に基づいていることを外部の会計士が確認したという証明書)
“はー、また同じ作業がタダ働きで発生するのか・・・あそこでテロさえ起きてなければ、今頃はロンドンで投資家を回っていたのに・・・”
リンクレーターと長松大野の太っちょな弁護士に囲まれ、あなたは詳細な事業リスク内容を事業部長に問いたださなければならない。
“この石油事業が上手くいかなくなる最大のリスク要因とは、どのようなものですか・・・”
“マレーシアのパルプ工場に対する巨額投資の債権は今期中に特損処理するつもりですか・・・” 自分で起きているのが不思議なくらい、退屈な質問が果てしなく続くのであった。 (次回ヘ-)
-―少し砕けたトーンで記載したが、当日はこのような典型的なシーンをより多く知ってもらうことで、あなたが本当にやりたい仕事かどうか、自分の強みが生かされる仕事かどうかを把握する一助になれれば、と思っている。 なお、上の例では苦しいワンシーンを記したが、投資銀行業界のプラスの側面、勉強になる側面も、より具体的に伝えたいと思っている。
私は今回、“特定のインベストメントバンクを売り込む”という立場から離れているので、より中立的に、業界の実態/各社の特徴について真相を率直に伝えようと思う。
世界中の優秀な学生が志す業界だけに、労働のミスマッチを解消する一助になれれば幸いである。
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